ICT技術の発展は目覚ましく、その技術は様々な分野で活かされています。介護業界においてもICT技術を導入する機会が増えています。ICT化を進めると、作業効率がアップするほか、職員のストレス軽減にも役立つと言われているので、介護士の離職率の低下や作業の質の向上などが期待できるでしょう。

しかし、すべての介護現場でICT化をスムーズに進めることができるかというと、実はそうではありません。ICT化を進めるにあたって課題を抱える施設も数多くあります。なぜなら、ICT化を進めるためには、コストがかかるからです。ICT技術を導入するためには、機器を購入しなければなりませんし、定期的にそれらのメンテナンスも行う必要がでてきます。そのため、初期費用とランニングコストがかかってしまうのです。

また、せっかくICT機器を導入しても、スタッフがうまく使いこなせないという操作の課題もあるようです。若い世代のスタッフは柔軟に対応できるかもしれませんが、ミドル世代以上の介護士だと、便利な機器があっても、それを有効に使いこなすことができない場合も少なくないでしょう。費用の問題は補助金制度の利用でいくらか解決できるかもしれませんが、この問題においては、導入を促進するための人材や指導員を確保したり、研修を行うなどしなければならないので、簡単ではないかもしれません。

介護業界がICT技術を導入し、新しい介護スタイルを確立できれば、人材不足の悩みは軽減できます。しかし、そのためにはいくつもの課題をクリアしなければならないのが現状です。